日本の自動車税制の特徴と課題
自動車税負担額の国際比較
日本の自動車税負担額の国際比較をするために、標準的な小型乗用車を10年使用すると仮定して、取得・保有・使用にかかる税金について総合的にみていきましょう。

自動車関連税の体系は、国によってさまざまです。自動車の取得税、保有税といったものは、ほぼ全ての欧州各国で導入されていますが、その課税水準は国によって大きく異なるのです。
では、具体的にかかる税金についてみていきましょう。
総額で見ると、取得段階の税額が高く、車の燃費に応じた¥登録税を導入しているデンマークでの税額がもっとも高くなります。そして、欧州諸国は、取得、燃料段階での税が高い傾向にあるといえます。これには間接税国家であることも関係しているのでしょう。
ASEAN諸国では、燃料税は安いのですが、自動車の資産的な価値に重点が置かれ、取得段階での課税がきわめて高くなっています。
保有段階の税総額で比較すると、日本がもっとも高くなるのですが、総額では上記のような国々と比べて決して高いとはいえません。また、実際には日本の乗用車1台あたりの年間走行距離は、欧州諸国の7割程度、アメリカの6割程度なので、このことも、日本の税額が決して高くはないといえる要因となっています。
日本の自動車税制の特徴
日本の自動車関連税制の特徴は、戦後、急激に増加した自動車による道路の需要を満たすために、多くの税目を設けてその税率を徐々に上げてきた結果できあがったもので、その結果、欧米やアジア諸国と比較すると、いくつかの特徴がみられます。
・徴収面での特徴
欧州諸国と比較して取得・保有段階での負担が、走行段階のものと比べて低い点、
税目が多く納税者にとって税目の趣旨が分かりづらい点、
欧州諸国でみられる、環境税などといった直接的に地球温暖化防止をはかるための税目がなく、間接的にそういった趣旨の課税がされている点。
・支出面での特徴
欧米では、自動車関連税は道路整備だけに用いられているわけではないが、日本では、自動車関連税から徴収されている税金の大部分が道路整備に用いられている点。
日本の自動車税制の課題
日本の自動車関連税制の課題を、税の体系、税収の使途、課税ベース、といった3つの観点からみていきましょう。

・税の体系
道路整備の目的税における暫定割増税制の設定が、標準税率を大きく上回っている点
取得・保有・使用といった3つの段階それぞれに複数の税目が存在しており、複雑である点、
欧州諸国と比べて、相対的に取得・保有段階の課税が重い点、
が挙げられます。
・課税ベース
地球温暖化などの環境に対する負荷を削減すること自体を目的として創設されていない点、
自動車取得税を、道路利用権利税としてみたとき、中古車に対する課税に根拠がなく、道路損傷者負担金としてみたときには、価格に応じた課税が課税ベースとして適切ではないという点、
車種、油種の間での税額の差が、道路損傷や、環境に対する負荷の程度を反映していないという点
が挙げられます。
・税収の使途
道路整備の効率性が低下してきてしまっているが、それにもかかわらず多くの税が暫定割合税率が設定されたうえで、道路特定財源として道路整備に充てられている点が挙げられます。
それでは、こういった課題を孕んでいる自動車関連税制に対して、政党や利益団体、非営利組織がどのような考えを持っているのでしょうか。
・政党
課税については、現状の税率を維持すべきという意見と取得・保有の課税を下げ、環境税などを取り入れるべきだという意見があり、道路特定財源については、一般財源にすべきという意見もあります。
・利益団体
取得団体に2つの課税があることを見直すべきであるという意見と、自動車重量税と燃料税についても暫定税率の廃止を求める意見が強くあり、道路特定財源については、使途拡大、一般財源化については反対しています。
・非営利組織
道路投資を削減するものの課税水準を下げることなく、本則を上回っている部分については一般財源化し、燃料段階に炭素税を上乗せするべきであるとしています。
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